「どう生きるかは、どう死ぬのかと、表裏一体だと思うのです」
施設長の大塚さんのお話しのなかで、ひと際、真剣なまなざしをもって語られたこの一言が、取材のあともずっと心に残りました。生きること、死ぬこと。それは別々のものではなく、太く強く繋がっているのです。
特別養護老人ホームケアプラザさがみはらは、相模原市の緑区にあります。徳島県に本部を構える社会福祉法人蓬莱会(ほうらいかい)の関東地方における初めての事業所です。
「ケアプラザさがみはらは、アウトリビングをコンセプトに設計しました。体力が落ちてきている高齢者にとって、外出のハードルは高いと言えます。敷地内に桜の花見ができる場所や散歩ができる遊歩道があれば、もっと気軽に外出できるようになると考えました」
アウトリビングとは、庭やテラスなどの屋外を室内のリビングのように一体化した生活の場所として取り入れることです。広々としたケアプラザ相模原の敷地内には、季節の木花が植えられ、施設の周りをぐるりと囲むように遊歩道が整備されています。
さらには芝生の庭から屋外バーベキュー場まであります。遠くまで行くには疲れてしまうご利用者さんも、施設の庭であれば、リビングのように安心して陽の光を浴びて過ごすことができます。
「障害者施設のご利用者さんのパワフルさよりも、高齢者施設のご利用者さんのゆったりとした雰囲気の方が私に合っていると感じて、特別養護老人ホームを選びました」
そう話すのは、今年新卒でケアプラザさがみはらに入職した是枝さんです。高校生時代には、介護技術を競う大会の選抜メンバーに抜擢されたこともあるそう。フレッシュさと落ち着いた雰囲気を両方併せ持った介護士さんという印象でした。
「美味しいね」と言いながら、彼女が介助するゼリーを嬉しそうに食べるご利用者さんは、入職してまだ半年にも満たない彼女をずいぶんと慕っているようでした。
ケアプラザさがみはらでは、エルダー制度を導入し新人教育を進めています。エルダーとは、新卒や介護職員としての経験を持たずに入職した新人に対し、1年間担当となり、介護技術を教えたり、相談に乗る身近な先輩職員のことです。
新人研修はマニュアルを基に、チェックシートを使用しながら進めます。バイタルと服薬、排泄ケアなど、チェックする項目は細かく分けられています。その中からできることやまだ不安があることを新人職員自らがチェックし、エルダーやリーダーは評価しつつ、新人職員にアドバイスを送ります。
入職して3か月ほどまでは毎日、交換日記のようにこのシートを新人職員とエルダー・リーダー間でやりとりすることで、分からないことや不安があることを明日に持ち越さず、その場で解決するのです。
私も新人職員の頃は分からないことだらけで困った経験がありました。誰に質問したらいいのかも分からず、右往左往していたのを思い出すと、研修制度がきちんと整っていることは魅力的に思えます。
「想像以上に覚えることが多かったけれど、何でも教えてくれる先輩方のおかげで安心して働くことできます」と是枝さんが言うように、分からないことを質問し、答えてもらうまでのやりとりがスムーズに進むと、新人職員も働きやすいですね。
「移乗などの介護技術は、蓬莱会の動画マニュアルを準備してあります。YouTubeに掲載しているので、見たい時に、何度でも確認できて便利です」
そう教えてくれたのは、フロアリーダーの伊藤さんです。動画マニュアル作成時に監修をしたとだけあって、ご利用者さんへの声かけから始まり、車いすに座り終わるまでの流れるような移乗介護は思わず見とれてしまう仕事ぶりでした。
これまで紙ベースのマニュアルは数多く見てきましたが、動画マニュアルは初めてお目にかかりました。ベッドから車いすへの移乗など、お手本を見せてもらっても、先輩職員の動きを目で追うので精一杯というのが本音でしょう。自分の身体を使ってその動きを再現できるようになるには、人によっては時間もかかるはずです。動画であれば気兼ねすることなく自分のタイミングで見て、イメージトレーニングを積み、練習することができるので介護技術を習得しやすいはずです。
また、経験年数を重ね、知らず知らずのうちに自己流になってきている職員にとっても、基本を見直すきっかけにもなるでしょう。
「どのような形であっても、とにかくたくさんご利用者さんを笑顔にしたいです」
満面の笑みでそう語るのは、フロアリーダーの林さんです。幼いころから生き物が大好きで、水族館や動物園で動物たちの自然な姿を見るのが楽しみだったと言います。その生き物好きが高じて、興味は人へも広がり、大学卒業後から今まで8年間、ケアプラザさがみはらで介護職員として勤めています。
撮影のため彼の後ろを歩いていると、見かけたご利用者さんそれぞれに異なる話題ですぐに話しかけ、笑いを生んでいました。ある時は、なぜか“動画”を“ヌード”と聞き間違えたご利用者さんがおかしくなって笑いだし、ある時は、彼が記念写真を撮ろうと誘ったご利用者さんがその気になってポーズを決め、出来栄えに満足げに微笑んだり。まるで花咲か爺さんがあちこちの木の花を咲かせてゆくように、彼が歩く先々では笑顔が咲いていました。
「普通であれば、ご利用者さんに残された時間は私たちよりも短いはずです。だから、ご利用者さんが今、笑っていることが嬉しいのです」
花咲か爺さんの彼は目を細めて笑いながら、そう語ります。今日も明日もあさっても、笑顔で過ごせる瞬間が、残された時間を豊かに埋めてゆきます。
「ご利用者さんのしたいことを、終末期になってからではなく、元気な時からしてもらいたいのです」と施設長の大塚さんは話します。
ケアプラザさがみはらではアドバンスケアプランニング(ACP)を進めています。アドバンスケアプランニング(ACP)とは、終末期をふまえた今後の生き方についてご利用者さん本人とご家族や介護者があらかじめ話し合いをしておくことです。
「これまではご利用者さんにいよいよという時が来て初めて、『これからどうされますか?』と延命処置の希望の確認や病院・施設のどちらで最期を迎えるのかという選択をお願いしてきました。しかし、それではご家族は心の準備もできておらず混乱し、たとえ家族のことであっても人の命に関わる決断に悩みます。また、介護職員も『自宅に帰りたいと言っていたけれど、容体が悪くお連れできなかった』など叶えられなかったご利用者さんの要望に後悔を残します」
そこでご利用者さん、ご家族、職員すべての人に残る後悔をなくすため、「心残りゼロケア」を始めました。これまでどのような暮らしをしてきたのか、どのようなことをこれからしたいのか、どのような最期を望むのか。これまで最後に話し合ってきたことを、入居の段階から相談することにしたのです。それらを元に、ケアプラザさがみはらでの日々の暮らし方を一緒に考えていきます。
職員とご家族は、終末期に訪れるご利用者さんの体調の変化などを定期的に施設内研修で学びます。曖昧だからこそ不安だった終末期のイメージが、学ぶことで新しく作り変えられていき、そうしたことで否定的だった死と前向きに向き合えるようになっていくのです。
「『心残りゼロケア』を始めてから、たくさんの良い変化がありました。これまで病院で亡くなるものだと思っていたご家族は、『施設での看取りの方が、お父さんらしいから』とご利用者さんのこれまでの生き方に沿って、その最期にふさわしい場所を選ぶことができるようになりました。職員もまた、『あれもこれも、たくさんやりたかったことができましたね』と涙しつつも、後悔を残さずお見送りできるようになり、最後まで介護できた達成感からやりがいも芽生えてきました」
大塚さんは職員にこうメッセージを送っています。
「人の最期の瞬間に関わらせてもらえる仕事は、そう多くありません。“終わり良ければ全て良し”という言葉がありますが、その大事な終わりを任せてもらえるなんて、本当に輝かしい仕事です」
自分の言葉で語る彼女から、自身が本当にそう信じていることがとてもよく伝わってきて、同志のように感じて嬉しくなりました。
どういう最期を迎えたいか、迎えてもらいたいのかを考えたことで、どう生きたいか、生きてほしいのかが雲が開けるように明確に見えたのです。死について考えることは決して悲しいことではなく、生きる時間をより豊かにするためのステップです。いつかは必ず訪れる死から目を背けないでいることで、残された時間に限りがあることを実感します。
だからこそ、孫を抱いて話す時間を今過ごし、思い出の温泉を再現した入浴の時間を、いつかと先延ばしすることなく、今実現しようと思えるのです。いかに死ぬかと生きるかは深くつながっていて、心残りのない最期を迎えようとすることが、心残りゼロの生き方をつくるのです。
頼りにされる介護士になりたい
この春から介護職として働き始めました。今はご利用者さんと冗談を言い合って、お話をする時間が好きです。今後は先輩職員のように、テキパキと動けて、ご利用者さんや他の職員からも頼りにされる介護職員になっていきたいです。
介護職員 是枝さん
介護の仕事をしたいと羨望される介護士になりたい
私を見てもらい、「介護の仕事をしたい」と思われるような介護士でありたいです。また、一緒に働く職員さんにも「介護の仕事って楽しい」と感じてもらえる職場をつくっていきたいです。
フロアリーダー 伊藤さん
飽きる時間を笑顔に変えたい
日常生活の色々な場面でご利用者さんが笑顔になってくれると嬉しいです。時には芸人のように振舞い、笑いを誘うこともあります。とにかくどんなことであっても、ご利用者さんが飽きる時間がないようにしたいと思っています。
フロアリーダー 林さん
【正規職員】 社会福祉法人蓬莱会 特別養護老人ホーム ケアプラザさがみはら
年収例 3,324,680~3,976,800円(初任者研修修了時の場合) 3,477,080~4,129,200円(経験3年介護福祉士の場合)
月収例 226,000~273,600円(初任者研修修了時の場合) 内訳【基本給180,200~204,000円 処遇改善手当8,000 円~12,000 円(2019年実績) 、 特定処遇改善手当13,800円~27,600円(2019年実績) 夜勤手当6,000円/回(月平均4~5回) 】
他手当:住宅手当10,000円(世帯主として新たに借り受けた場合)、 扶養手当10,000円(子一人につき) 賞与:合計3.4カ月年2回支給
237,000~284,600円(経験3年介護福祉士の場合) 内訳【基本給186,200~210,000円 処遇改善手当8,000 円~12,000 円 (2019年実績)、 特定処遇改善手当13,800円~27,600円(2019年実績) 夜勤手当6,000円/回(月平均4~5回)、 資格手当5,000円(介護福祉士) 】
他手当:住宅手当10,000円(世帯主として新たに借り受けた場合)、 扶養手当10,000円(子一人につき) 賞与:合計3.4カ月年2回支給
待遇 ・交通費支給(実費25,000円/月まで) ・社会保険(労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金) ・車、バイク通勤(可、駐車場無料) ・昇給(あり:人事考課による0~5000)円 ・制服貸与 ・その他(職員用託児室あり、退職金あり、資格取得支援制度あり、福利厚生共済会加入)
勤務地 神奈川県相模原市緑区大島295
アクセス JR横浜線・相模線/京王相模原線「橋本駅」下車、 橋本駅南口バスターミナルより約13分「相模原総合高校入口」下車、 徒歩1分
勤務時間 7:00~16:00、9:00~18:00、12:30~21:30、21:15~7:15
休日 年間休日113日
応募資格 介護職員初任者研修修了以上
公式ホームページ |
【パート】 社会福祉法人蓬莱会 特別養護老人ホーム ケアプラザさがみはら
時給例 1,050円~(初任者研修修了時の場合) 内訳:【時給給1,050円】 上記内訳に含まない他手当:処遇改善手当(土日祝日:時給+50円、 7:00~9:00、19:00~22:00時給+100 )円、 特定処遇改善手当(フルタイム勤務の場合13,800円/月(2019年実績))、 扶養手当(子一人につき60円/時)、住居手当60円/時(※扶養手当、住居手当各上限10,000円/月) 賞与:合計1~2カ月年2回支給
1170円(経験3年介護福祉士の場合) 内訳:【時給給1120円、資格手当50円】 上記内訳に含まない他手当:処遇改善手当(土日祝日:時給+50円、 7:00~9:00、19:00~22:00時給+100)円、 特定処遇改善手当(フルタイム勤務の場合13,800円/月(2019年実績))円、 扶養手当:子一人につき60円/時、住居手当:60円/時(※扶養手当、住居手当各上限10,000円/月) 賞与:合計1~2カ月年2回支給
待遇 ・交通費支給(実費25,000円/月まで) ・社会保険(労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金) ・車、バイク通勤(可、駐車場無料) ・昇給(あり:人事考課による時給0~18)円 ・制服貸与 ・その他(職員用託児室あり、退職金あり、福利厚生共済会加入)
勤務地 神奈川県相模原市緑区大島295
アクセス JR横浜線・相模線/京王相模原線「橋本駅」下車、 バス乗車 約13分「相模原総合高校入口」下車、徒歩1分
勤務時間 7:00~16:00、9:00~18:00、12:30~21:30、21:15~7:15 上記シフトの中の3時間以上、週2回~ご相談ください。
応募資格 介護職員初任者研修修了以上 |
見学ポイント
天気の良い日には、庭を散歩するご利用者さんに出会えるかも。
採用担当からひと言
他にもこんな施設・事業所があります
代表だけではなく、ほとんどのスタッフが湘南ケアカレッジの卒業生で構成される、居宅・重度訪問介護、障害者(児)のガイドヘルプの事業所。
障害者(児)訪問介護・移動支援
相模原・東林間