今日も明日も会いたい人がいる【シャロームの家】

金森郵便局前のバス停を曲がって、あとは香ばしいパンの香りを追いかければ、「シャロームの家」にたどり着きます。散歩に来ていた保育園児さんたちが、焼きたてパンのノボリを指さしてせがんでいます。その隣では、「ここのパンは美味しいんだよね」と保育士さん。

 

カレーパンやウィンナーロールなどの惣菜パンから、フランスパンのフレンチトーストなどの甘いもの、さらには竹輪(ちくわ)パンやラムネパンなどの聞きなれないものまで、実にバリエーション豊か。近所の方々がひっきりなしに買いに来る人気店です。それもそのはず、地元でパン屋を営んでいた職人さんと、障害のあるご利用者さんたちが作るプロの味なのです。


レジでお金のやりとりをする方や元気に挨拶してくれる方、パンを入れる袋を準備してくれる方など、店舗の運営もご利用者さんたちの仕事であり、それぞれが出来ることにたずさわります。

 

美味しいパンを通じて、買いに来てくれた小さな子供からお年寄りまで、さまざまな人々と関わることができ、さらに利益を出すことで収入をも得られる。どれだけ重度の障害があっても、働いて、お金を手にすることはやりがいにつながります。


「シャロームの家」では、ご利用者さんたちは仕事と余暇活動を行います。パンの製造やボールペンの組み立て、ちらし配りといった仕事。ダイエットを目標に歩いたり、散歩したりするウォーキングクラブやスイミングクラブ、音楽クラブといった余暇活動。1日仕事をする方もいれば、午前中は仕事をして午後から余暇活動という方もいます。

 

1日の流れとしては、朝、シャロームの家の送迎車を利用する方と自主通所されている方がいます。朝の会を終えると、それぞれ希望に沿ったグループに分かれ、仕事や余暇活動を楽しみ、お昼ごはんと休憩をはさみ、また午後から仕事や余暇活動をして送迎車に乗って帰宅する。

 

その1日のスケジュールの中で、ご利用者さんそれぞれの希望や出来ることに合わせ、支援員さんはサポートをします。


たとえば、ボールペンの内側にインクの芯を入れる仕事があります。手が動きづらいご利用者さんも、大きな洗濯ばさみに輪ゴムを巻いて枠を作り、滑り止めを下に敷くことで、仕事に参加できます。

 

ただ車いすに座っている身体の不自由な人ではなく、できることを見つけて工夫をする支援員さんの引き出し方次第で、ご利用者さんの可能性が広がっていくのです。


明日も行きたい場所、会いたい人

「シャローム」には、ヘブライ語で『あなたの上に平安がありますように』という意味があります。日常生活で、人と出会った時や別れる時などにも使われているそうです。あなたに平安がありますようにという願いを込めて「シャロームの家」と名付けられました。

 

創設のきっかけは、理事長の上嶋さんの妹さんが、高校卒業後5年ほど通っていた施設に行きたがらなくなってしまったことでした。「明日も行かないといけないの?」と尋ねるようになり、朝、施設まで車で送って行っても、なかなか車から降りようとしなくなりました。

 

しばらくは様子を見ていたものの、日に日に表情は落ち込むばかり。言葉では言わずとも、全身で行きたくないと訴えているようでした。そんな妹の様子を見て、「そんなに嫌な思いまでして通わないといけない施設ってなんだろう」と上嶋さんも悩みました。

 

彼女に居場所がないなら、居場所をつくろう。同じように行き場のなかったご利用者2人とその家族が集まり、玉川学園の民家の一室からスタートしました。11年前に社会福祉法人となり、町田成瀬の金森へシャロームの家として移ってからも、家庭的でリラックスできる雰囲気は変わりません。

 

他の通所施設と比べて、自閉症やダウン症などのご利用者さんがもつ障害の程度が低いわけではありませんが、ゆったりと落ち着いた空気が流れています。

 

「良いように言うと、のんびりしている。悪いように言ってしまうと、だらけているように見える」

 

一面だけを見てしまうと誤解を生むかもしれませんが、プログラムや仕事を押し付けてしまうことが、ご利用者さんにとっては良くない場合もあります。

 

もっと一生懸命に仕事に取り組みたい人や、プログラムをたくさんしたい人は、別の場所に通うほうがもっと楽しめるかもしれません。

 

「シャロームの家」では無理はしなくていい。家庭的な遊び半分、仕事も半分、思いっきり楽しいことがしたい!というご利用者さんがいて、職員さんも同じ気持ちです。


「ご利用者さんと関わるときに、職員さん自身の考えを押し付けるのではなく、まずはご利用者さんの想いを受け取り、考えてみる姿勢が大事だと思います」

 

障害のある方に限らずと前置きし、副施設長の和田さんはそう話してくれました。支援をする側は良い方向へご利用者さんを導きたいと思うがゆえに、自身の考えが先行してしまいがちです。

 

しかし、まずご利用者さんの想いを受け取り、考えてみることで、そうした押し付けではなく、ご利用者さんの立場に立った支援ができるのです。

 

生活の中に思うようにならないことがあっても、ここに来れば話を聞いてくれる人がいる。喜びや悲しみを分かち合える仲間がいる。自分にもできる仕事がある。そんな生活の中での自信をつけていく。明日も会いたい人がいる、シャロームの家は明日も行きたい場所なのです。

 


おでかけしようよ!

シャロームの家の特長は、ご利用者さんが主体となってつくる「おでかけレク」があることです。施設内の掲示板に、行きたい場所ややりたいことをポスターにして張り出し、同志はそこにサインをします。職員側が企画するのではない分、多くの参加者が集まらない場合でも決行します。

 


カラオケやお寿司を食べに行く企画はいつも大人気。友人と外に出かける楽しさや、面白さを味わってもらえる、たくさんの体験ができる場面をひとつでも多く作っていきたいという施設の考え方がベースにあるのです。


パンを作るご利用者さんにカメラを向けると、サービス精神旺盛にポーズを取ってくれました。また、パンを入れる袋を用意してくれる男性が、私が来ると必ずニヤリと笑い、腕を伸ばしてくれます(職員さん曰く、若い女性への愛想は抜群)。

 

作っている人、売っている人の顔だけではなく、人柄や性格までもが分かるからこそ、つい食べてみたくなるのです。町のチェーン店のパン屋で知らない他人から同じパンを買っても得られない、親しい友人からプレゼントをもらったときのような気持ちになります。


「ありがとうございました」と言われると、「こちらこそ、ありがとうございました」とお礼を述べたくなります。そんな風に、障害者が作っているから買うのでも、安いから買うのでもなく、パンひとつを通して心も豊かになる交流が増えると嬉しいです。


難しくも特別でもない

取材の日はちょうど七夕。青空の下、笹の葉はそよそよと気持ちよさそうです。笹に結んである願いごとをみせてもらうと、「すし」と書いてあり、お寿司が食べたいのかな?と想像力をかきたてるものもあれば、走り書きのサインのような願いごともあります。

 

「すし」ひとつとっても、回転ずしの中でもどこか特定のお店の、お気に入りの席で、外を走る車を眺めながら、家族あるいは友達と食べに行きたいのかもしれません。

 

残念ながら私には一つひとつの願いごとに込められたご利用者さんの想いに想像が及びませんが、多くの時間を共に過ごす支援員さんには分かることがあるはず。

 

言葉を発することがないご利用者さんであっても、視線や表情、仕草など、コミュニケーションのツールは数えきれないほどあります。同じように「嬉しい」、「楽しい」と思っていても、感情の表現の仕方が異なるだけであって、特別高度な技術がないと理解できないことではありません。

 

むしろ、目の前にいる彼ら彼女らが何を考えて、何を見ているのだろうかと目線を並べて見ようとできる人であれば、その想いにきっと応えられるはず。障害のある方への支援だからといって難しく考えることはなく、特別である必要もない。

 

今日も明日も会いたい。

 

そんな風に思ってもらえる人であれば、それでいいのだと思います。


働く人の声

不安が和らぐように心を配る

初めての福祉の仕事として転職してこられる方も多いので、不安が少しでも和らぐように心を配っています。前職の経験を活かしてもらいつつ、これまで気づけなかった目線からの考えを耳にするのもありがたいです。ご利用者さんに関わる上では、やはり優しくありたいと思っています。

副施設長・サービス管理責任者 

野路さん

 

ご利用者さんを少しでも良い方向へ支援していきたい

初めての福祉の仕事に不安なことも多くありましたが、先輩職員が相談に乗ってくれたり、アドバイスをいただけて楽しく働き続けられています。私たちの支援によって、ご利用者さんは良い方向へもそうでない方向へも進むことができるので、やみくもに支援するのではなく、ご利用者さんをよく見て、少しでも良い方向へ支援していきたいです。

支援員 杉浦さん 

初任者研修103期生

 

良かったと思える体験をプラスして送り届けたい

通所施設は自分の身体のリズムに合っていて働きやすいです。朝、通所してきたご利用者さんに楽しんでもらい、良かったと思える体験をプラスして、夕方、元気な姿で送り出したいと思っています。これからも資格を取得したり、勉強を重ねながら支援の引き出しを増やし、少しでもご利用者さんの良い部分を引き出す支援をしていきたいです。

支援員 市川さん


施設・事業所紹介動画

採用情報

【有期嘱託職員】

社会福祉法人 紫苑の会

シャロームの家

 

年収例

2,338,000~3,214,000円

※処遇改善手当と賞与を含む(初任者研修修了時の場合)

 

月収例

167,000~240,000円(初任者研修修了時の場合)

 

他手当:送迎手当(運転)250円/回、送迎手当(添乗)150円/回

賞与:合計12万円年2回支給(前年実績)

 

待遇

・社会保険(労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金、退職金共済)※加入保険は法定通り

・バイク通勤可、駐車場無料

・昇給あり

・定休(日曜・土曜・祝日)

・制服なし

 

勤務地

東京都町田市金森東1-25-20

 

アクセス

JR町田駅・小田急線町田駅よりバス「金森郵便局前」下車、徒歩3分

 

勤務時間

8:30~17:30

 

休日

年間休日123日

 

応募資格

介護職員初任者研修修了以上

 

公式ホームページ

http://www.shalom-ie.com/

【パート】

社会福祉法人 紫苑の会 

シャロームの家

 

時給例

1,020円~1,150円(初任者研修修了時の場合)

上記内訳に含まない他手当:送迎手当(運転)250円/回、送迎手当(添乗)150円/回

賞与:合計30,000~80,000円年2回支給

※賞与時に処遇改善交付金支給合計80,000円~年2回(前年実績)

※勤務率・出勤率に応じて支給。

 

待遇

・社会保険(労災保険、雇用保険)

・バイク通勤可、駐車場無料

・昇給あり(20円)

・定休(日曜・土曜・祝日)

・制服なし

 

勤務地

東京都町田市金森東1-25-20

 

アクセス

JR町田駅・小田急線町田駅よりバス10分のち徒歩3分

 

勤務時間

9:30~16:15または9:00~17:30までの間の6時間※勤務時間はご相談下さい。

 

応募資格

介護職員初任者研修修了以上


見学ポイント

就職相談担当 影山
就職相談担当 影山

天気の良い日には、庭を散歩するご利用者さんに出会えるかも。

採用担当からひと言

シャロームの家採用担当 和田
シャロームの家採用担当 和田
ロック音楽を演奏するのも、聴くのも好きです!ご連絡お待ちしています!

実際に見学してみたい、または相談・応募を希望される方は、下記の電話番号・お問い合わせフォームよりお願いします。


他にもこんな施設・事業所があります

第3の場所

障害のある子どもたちにとって、自分の家と学校だけで完結してしまうのではなく、もうひとつの安心できる「第3の場所」。それがアイ・らんどの目指すところです。

放課後等デイサービス

町田

社会とつながる喜びの輪の中で

町田市にある、知的障害のある方が植物の栽培から製品の制作、販売まで行っている、通所の就労継続支援B型、生活介護事業所。

就労継続支援B型、生活介護

町田