病院ではなく、地域のなかで暮らしたい【ノエ(グループホームあい羽)】

「病院ではなく、地域のなかで暮らせる場所を作りたかった」

 

精神科病棟で看護師として勤務する中で、何十年もの歳月にわたって病院に入院し続けている患者さんを見てきた、株式会社ノエ社長の山口さんはそう語ります。

 

日本は、精神科の入院ベッド数・入院期間ともに先進国のなかでもダントツのトップというデータ(2017年厚生労働省)があります。入院を要した症状が落ち着いてもなお、“社会的入院”として、地域での暮らしから隔離されてしまっている現状に、多く問題提起がされています。

 

病院から地域への門は開き始めていますが、受け入れ先としての施設やグループホームなどの環境整備はまだ発展途中の段階なのです。

 

精神疾患(精神障害)には、統合失調症やうつ病・躁うつ病(双極性障害)、高次脳機能障害などさまざまな疾患が含まれます。内閣府の調査によると(平成30年)精神障害のある人の数は、人口の31人のうち1人という数字からも、決して珍しい疾患ではないことがわかります。

 

「今は元気に過ごしている人であっても、いつ障害をもつことになるかは分からないのですよ」

 

山口さんのさっぱりとした言葉には、こちら側とあちら側といった境界など簡単に入れ替わり、そもそもそういった境界などあるのだろうかとも考えさせられます。


グループホームでの暮らし

閑静な住宅街のなかにあるこの家は、グループホームあい羽(あいは)です。

 

株式会社ノエは、町田市内にこのようなグループホームを8か所、そしてメンタル訪問看護あい羽、ヘルパーステーション、相談支援事業所を運営しています。表札を見なければ、ここがグループホームだと気づく人はいないでしょう。

 

ひとつのグループホームに4名のご利用者さんが住み、それぞれの個室を持ち、トイレやお風呂、リビングなどは共有しているので、シェアハウスと考えるとイメージは近いでしょうか。

 

ご利用者さんは病院や施設からグループホームへと移り住み、他のご利用者さんと暮らす中で、それぞれが抱える課題を解決していきながら、最終的には自立生活を目指しています。

 

訪問看護で適切に看護を受けつつ、掃除や洗濯、食事の後片付けなどはできるだけ自分で行っています。

 

ご利用者さんは24時間グループホームで過ごすのではなく、昼間はデイケアや就労支援施設に通い、また夕方になると戻ってくるという出入りがあります。

 

朝「いってきます」と出かけて、夕方「ただいま」と帰ってくる。それもまた、病院や施設とは違った、地域の中での自立生活の一場面です。

 

とはいえ、すべての方がそういった日中活動に参加できる心と体の状態ではなかったり、グループホームから見守り付きの一人暮らしへと段階は踏んでも、あと一歩先の完全なる一人暮らしにはなかなか到達できないことからも、地域の中で暮らすことが言葉で言うほど簡単ではない現実も垣間見えます。


ご利用者さんの不安に引っ張られないのが基本

左から、副主任の稲川さん、真ん中が主任の一関(いちのせき)さん、そして右が湘南ケアカレッジ卒業生の佐藤さん。

 

冗談を言い合い、楽しそうに話している彼女たちはまるで三姉妹のよう。グループホームのスタッフさんは4060代の方が中心になって働いており、もちろん男性スタッフもいます。

 

佐藤さんはノエで勤めて1年になります。

 

「私が勤める会社の社長はとても魅力的で面白い方なんですよ。社長に惹かれて入社しました」と初任者研修に通うなかで彼女が教えてくれたことが、ノエさんとのご縁の始まりでした。

 

高齢者施設での介護職のように、グループホームでは世話人と呼ばれるケアの職種があります。

 

ただその仕事内容は、介助や介護をすることが主ではなく、彼ら彼女らができているかを見守り、変化や困っていることに気付くことにあります。

 

もちろん介助や介護においても、自立支援が基本ではありますが、身体的な面ではなく気持ちの面で支えることに世話人の仕事の重きがあるのです。

 

「どうしても手を差し伸べすぎたり、話を聞きこみすぎて依存につながってしまったりというのがありがちなミスです。話はもちろん聞くのですが、聞きすぎてしまうのはご利用者さんにとってかえって良くないときもあります。“ご利用者さんの不安に引っ張られない”というのは関わる上での基本ですね」


専門の調理員が、手作りの食事で生活を支える

グループホームで働くと聞くと、料理は必須だと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

 

ノエでは、専門の調理員さんがすべての事業所に暮らすご利用者さん分の食事を作り、1人分ずつタッパーに小分けし、食事時に各グループホームへと届けてくれます。そのため、料理が苦手な方でも世話人として不安なく勤められます。

 

「今日の夕飯の厚揚げのきのこあんかけには、あんかけに隠し味でマーガリンを入れてみました。以前に作ったときにご利用者さんから好評だったので、再チャレンジです」

 

調理員さんのお言葉に甘えて味見をさせていただくと、優しいお出汁の味にふんわりとしたマーガリンの香りが後味になり、食欲がそそられました。

 

味付けは基本的には薄味ですが、数人の調理員さんが日替わりで調理するため、ひと工夫も人それぞれ。それが家庭料理の美味しさの秘訣でしょう。

 

今やすでに調理済みの料理のチルドパックを、食事の前に湯煎して提供する事業所も増えてきていますが、作る人が食べる人の顔を思い浮かべながら作る食事が、普通の暮らしを望む彼ら彼女らをまた違った側面から支えています。


知識はご利用者さんと接するなかで身に付いていく

「病名は同じでも、ご利用者さんによって症状やこれまでの生活歴、今の状況や家族との関係など、人それぞれです」

 

「入職する人が皆、専門的な知識を事前に持っているかというとそうではなく、ご利用者さんと接するなかで知っていけばよいと思っています。知識から先に入ってしまうと、『この病名だったら、症状はこうでしょう』という風に決めつけてしまいかねません」

 

それは診断名や症状からご利用者さんを見るのではなく、まずはご利用者さんを見て、ピアノが得意、にんじんは苦手などといった特徴のひとつのように、病気や症状を知っていくということなのでしょう。


あなたのその笑顔が見たかった

「『そんな顔をして笑うんだ』と知るときや、知らなかった姿に出会うときが楽しい瞬間です」と主任の一関さんは嬉しそうに話します。


取材中、緊張気味で強張った表情をしていたご利用者さんが、なかなか取れないおにぎりの包みがツボにはまったのか、一転して笑いが止まらなくなるのを見て、

 

「いい笑顔!その笑顔が見たかったのよ」と感激したように喜びを口にしていることもありました。

 

少しずつ少しずつ、関わるなかで彼ら彼女らの中に起きてゆく変化を待っているのでしょう。


他の人よりも悩みが深すぎたり、多すぎたりするだけ

「働き始めた最初のころは、とにかくご利用者さんの話をじっくりと聞きすぎて、逆にご利用者さんを混乱させてしまうこともありました」

と佐藤さんは新人研修時代を振り返ります。

 

「今は、もちろん話を聞きますが、一定の時間を守ったり、できるだけ簡潔に、はっきりとした言葉を使って話すようにしています」

 

ご利用者さんの悩みや気になることを自分がすべて解決しようとしてしまうと、ご利用者さんは悩みをどんどん深くしてしまったり、頭の中で整理できなくなり混乱をまねていてしまうということに、彼女は気付いたのです。

 

取材の終盤に佐藤さんがこんな一言をこぼしていました。

 

「ご利用者さんは、他の人よりも悩みが深すぎたり、悩みが多すぎたりするだけなのだと私は思うのです」

 

この一言を聞いたとき、自分の思い違いを見透かされたように感じて私はハッとしました。認知症のある高齢者や知的障害、身体障害のあるご利用者さんを知らず知らずのうちに区分けしていたのかもしれない。

 

けれども、その“違い”とは、それほど違うものなのかと問われても、きちんとは説明できません。それはまだ私が彼ら彼女らのことを深く知らないからで、知らないからそこにありもしない線が見えてしまっていたのです。

 

健常者であっても、悩みのない人などおそらくはいないでしょう。その深さや多さにグラデーションがあるだけで皆、地続きの延長線上にいるように見えてきました。

 

「素直な人が向いていると思います。素直であればいくらでも吸収していくことができますから。佐藤さんのようにね」

 

主任の一関さんの太鼓判を聞いて、少し誇らしげに佐藤さんの背筋が伸びていました。


働く人の声


精神障害への理解が深まる

精神障害のある方への支援というと難しいと感じる人もいるかもしれません。けれども、健常者と言われる人よりも少しだけ悩みが深かったり、多かったりするだけなのだと理解が深まってゆくのも、この仕事をする前と後とで私たちに起こる変化だと思います。

主任 一関さん

 

自立につながってゆくのが嬉しい

日に日に変わるご利用者さんの変化を見られるのが、この仕事の楽しさだと思っています。昨日までできなかったことが、今日できるようになって、ご利用者さんの自立につながってゆくのが嬉しいですね。

副主任 稲川さん 

湘南ケアカレッジ実務者研修修了予定

 

安心してもらえる職員を目指したい

介護・福祉の仕事は初めてでしたが先輩職員さんから手取り足取り教えてもらい、1人でできることも増えてきました。これからは、ご利用者さんからも職員からも「佐藤さんがいると安心」と思ってもらえるような職員を目指していきたいです。

世話人 佐藤さん 

初任者研修104期生


施設・事業所紹介動画

採用情報

【常勤】

株式会社ノエ

グループホームあい羽

 

年収例

2,544,000~3,096,000円(初任者研修修了時の場合)

 

月収例

185,000円~225,000円(初任者研修修了時の場合)

内訳【基本給180,000~220,000円、初任者研修修了手当5000円】

他手当:早番手当300円/回、精勤手当5000円

賞与:合計1.8カ月年2回支給

 

待遇

・交通費支給(実費500円/日まで)

・社会保険(労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金)

・車、バイク通勤(可、駐車場無料)

・昇給あり

・制服なし

 

勤務地

事務所:東京都町田市図師町1332-15

 

グループホームは以下の施設を巡回して勤務します。

あい羽:町田市図師町1307-1

ひかりの羽:町田市図師町2254-49

虹の羽:町田市図師町1333-7

金の羽・銀の羽:町田市図師町614-11

星の羽:町田市図師町522-28

夢の羽:町田市木曽西5-34-1

 

アクセス

事務所:小田急線・横浜線町田駅からバス「馬駆」バス停下車、徒歩4分

 

勤務時間

6:30~15:30、9:00~18:00、10:30~19:30

 

休日

シフト制・年間休日105日

 

応募資格

介護職員初任者研修修了以上、普通自動車運転免許(AT限定可)

 

公式ホームページ

https://www.homonkangoiha.jp/

【パート】

株式会社ノエ

グループホーム

 

時給例

1,050~1,200円(初任者研修修了時の場合)

 

待遇

・交通費支給(実費500円/日まで)

・社会保険(労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金)

*勤務時間により加入

・車、バイク通勤(可、駐車場無料)

・昇給あり

・制服なし

 

勤務地

事務所:東京都町田市図師町1332-15

 

グループホームは以下の施設を巡回して勤務します。

あい羽:町田市図師町1307-1

ひかりの羽:町田市図師町2254-49

虹の羽:町田市図師町1333-7

金の羽・銀の羽:町田市図師町614-11

星の羽:町田市図師町522-28

夢の羽:町田市木曽西5-34-1

 

アクセス

事務所:小田急線・横浜線町田駅からバス「馬駆」バス停下車、徒歩4分

 

勤務時間

6:30~15:30、9:00~18:00、10:30~19:30

または6:30~19:30の間で4時間~、週に2日の勤務からご相談ください

 

休日

シフト制

 

応募資格

介護職員初任者研修修了以上、普通自動車運転免許(AT限定可)


見学ポイント

就職相談担当 影山
就職相談担当 影山
スタッフさんは、和気あいあいと明るい印象でした。気軽に話しかけてくれるご利用者さんのおかげで、こちらが緊張をほぐしてもらえますよ。

採用担当からひと言

採用担当 一関(いちのせき)
採用担当 一関(いちのせき)
プリンが大好物です。ご連絡お待ちしています!

実際に見学してみたい、または相談・応募を希望される方は、下記の電話番号・お問い合わせフォームよりお願いします。


他にもこんな施設・事業所があります

人生に、医療をそっとのせてもらう

町田市にある重度心身障害者施設を併設する丘の上の療養病院。変わりゆく今を楽しみながら、地域で暮らす人々を温かく、確かな医療で支える存在へと成長しています。

療養型病院、重症心身障害者施設

町田

あなたに、ここにいてほしい

温かく受け入れられ、他者から必要とされる満たされた気持ちを抱けたとき、ご利用者さんも働く職員もそこに居場所を見いだせるのです。

特別養護老人ホーム

町田