一緒に考えてみませんか?

介護仕事百景という、介護求人(転職)のセレクトサービスに関わらせてもらうにあたって、私自身の話を少しさせてもらいたいと思います。

 

私は介護の仕事を特別養護老人ホームから始めました。そのころは無資格でしたし、介護に対する知識はゼロ。まっさらと言えば聞こえはいいですが、右も左もわからないド新人でした。持ち前の方向オンチを活かし(?)、認知症のご利用者さんと共に施設内で迷子になったぐらいです。

 

今でも忘れられないのは、初めてベッドから車いすへの移乗介助をさせてもらった時のこと。なんとかご利用者さんを車いすへ移乗できましたが、しっかりと座らせられなかっただけではなく、緊張と持ち上げ介護のせいでお互い汗だくに。にもかかわらず、「ありがとうね、みさきちゃん」と感謝されたのです。「えっ?これぐらいのことで?」と驚きは隠せませんでした。

 

後日、その利用者さんと歓談していたとき、「あの時、本当は怖かったのよ。でもね、ひ孫みたいでいつもニコニコしているから、実験台にされてもいいやと思ったの」と言ってくださったことで、私の不安は全て見透かされていたのだと気づきました。

 

名前を最初に覚えてくれたそのご利用者さんの、「私の髪の毛、赤ちゃんみたいでしょ」とふわふわとした綿毛のような髪をなでながら、目を細めて笑う仕草が大好きで、仕事に疲れたときに何度お部屋におじゃまして、他愛もない話をしたことか。

 

引っ越しを機にその特養を退職し、次に働くことになった施設で、介護職員初任者研修を受けてくるよう勧められたことがきっかけで湘南ケアカレッジを訪れました。今思えば、数ある学校の中からあの時ケアカレを選んでいなかったら、恐らく介護の仕事は辞めてしまっていましたし、もしも続けていたとしても、自分の知っている狭い世界でだけで判断してしまう想像力のない介護士になっていたと思います。

 

偶然としか言いようのない力のおかけで、ケアカレで初任者研修を受講し、そこでの先生方やクラスメイトさんとの出会いによって、もう一度介護の仕事に向き合う気持ちが戻ってきたのです。自分がしたいと思っている介護が間違っているのではないか、とやる気をなくしかけていた私でしたが、介護の面白さやそこに関わる人たちの人間らしい部分に触れ、やっぱりこの仕事が好きだと思い直すことができました。

 

どの仕事でも大変なことがあると思いますし、もちろん介護の仕事も良いことばかりではありません。時に悲しい思いをするお別れの場面もあります。私の移乗介護に付き合ってくれたご利用者さんとも、お別れがありました。いつものように出勤した時には、その方はいませんでした。

 

明日また会えると思っていたのに・・・、少し食欲がないだけだと思っていたのに・・・。未熟だった私には気づけなかったサインがたくさんあったことに、いつもの居室に会いに行っても笑ってくれる人がいなくなって初めて気づきました。

 

もう会えないことを頭では理解していても、うまくいかないことがあったときには、またあの笑顔が見たくなります。そのご利用者さんには、頂いたもののほんの少しも返せなかったけれど、「いつもありがとう」と何もできない私を励まし続けてくれたその気持ちを、今度は他の誰かに返せたらと思います。

 

素敵なご利用者さん、ケアカレの先生方やクラスメイトがそうしてくれたように、今度は私が背中をそっと押せる人になりたいと思って、今ここにいます。「介護仕事百景」を通し、介護の仕事を一緒に見て、一緒に聞いて、一緒に考えてみませんか?

(影山)