大事なのは場所ではなく、時

クリスマスや誕生日というと、幼いころから母に本をもらっていたことを思い出します。

絵本から始まり、本の中にある知らない世界の話が大好きで、夢中で読んでいました。

 

最近は絵本を自分から読むことはなくなってしまいましたが、大人になってから読む絵本は、ストーリーの展開を楽しみに読むというより、その絵本が伝えたいメッセージを探して読むようになりました。メッセージ性の高い本からは、繰り返し読んでも、読むタイミングによって、その時に必要なアドバイスを与えられる気がします。

 

偶然手に取った「うさぎの だいじな みつけもの」という絵本では、主人公のうさぎが1匹、うさぎの友達を探して旅に出ます。出会ったふくろうに「イースターにはうさぎだらけだ」と教わり、イースターという場所を目指します。

 

見つからないイースターを探して夏、秋、冬とひとりぼっちで旅を続け、「イースターは遠いんだ」と寂しさに胸がふさがる思いもしました。そしてついに1匹のうさぎと出会います。すっかり嬉しくなり、イースターのことを忘れ、2匹のうさぎは幸せに過ごし、やがて子供を授かります。家族になったうさぎが何匹も飛び跳ねている姿を見て、ふくろうは「イースターはうさぎだらけだ」と語り、イースターとは、仲間がいる「場所」のことではなく、美しい「時」のことだったと締めくくられます。

 

イースターという場所を探していたはずのうさぎでしたが、本当の見つけ物は時間だったように、理想郷は場所ではなく、場所はどこであれそこで過ごす素晴らしい時間だということです。

 

介護の仕事も、ご利用者さんに何かに取り組んでもらったり、何かをすることももちろん意味のあるものですが、共有できる時間そのものが大事なみつけものだと思います。1人ひとりにとって違う「イースター」が、仕事でも見つけられたら素敵なことですね。

(影山)