先輩ができたよ

介護仕事百景を通して介護・福祉の仕事に就き、日夜頑張っている卒業生さんの近況を聞くと、その生き生きとした話しぶりから、転職が成功をしたことを知り、ほっと安どします。

 

そしてほぼ同時に、温かく迎え入れ、一流の介護士に育ててくださっている現場の職員さんに感謝の気持ちを抱きます。

 

Aさんは、昨年とある特別養護老人ホーム(特養)に転職し、そろそろ1年が経とうとしています。彼女が所属するユニットには、湘南ケアカレッジ(ケアカレ)の卒業生が多く働いており、彼女の指導にあたってくれたのも卒業生の彼・彼女らでした。

 

今年の1月、そのユニットからは、Aさん含め3人の卒業生が介護福祉士国家試験に挑戦するとのことで、「Tさんには、負けたくない」とAさんは先輩をライバル視し、筆記対策講座での勉強に加えて過去問題にも自ら取り組み、一層やる気を強くしていました。

 

「以前勤めていた施設には、自分よりも先に入職した先輩はいたけれど、自分と横並びにしか感じられなかった。でも、今の職場にはちゃんとした先輩がいる。Yさんはすごいよ」

 

そう彼女が話すYさんも、ケアカレの卒業生だったこともあり、私の嬉しさは増しました。彼女の言う“ちゃんとした先輩”とは、その人から学び・教えを受けたいと思える、強いて言えば尊敬できる人のことなのではないでしょうか。

 

具体的に何がそう思わせるのかは人それぞれだと思いますが、ご利用者さんからの難しい要望をスムーズに対応していたり、新人である自分への丁寧な指導であったり、先輩職員が自分よりも秀でていると感じるからこそ抱く感情だと思うのです。

 

「寝返りが打てないご利用者さんがいるので、数時間ごとに体位交換をした方がいいなと思って始めた。初めは自分しかやっていなかったけれど、それを見た先輩職員さんも『その方がいいね』と動いてくれるようになったよ」

 

自分の仕事について楽しそうに話すAさんは、先輩職員から学ぶだけでなく、自分で考えて提案、行動し、周りも巻き込み始めていました。そして先輩職員さんたちは彼女の提案に素直に賛同し、良いことを取り入れていこうとしています。

 

介護福祉士の次なる目標は、社会福祉士になることだと豪語する彼女の姿は、3年前に出会ったころよりも明らかに輝いて見えました。

(影山)