転職するときには、介護仕事百景で選びたい

介護仕事百景がスタートして、4回目の春を迎えました。なぜか春だけ気持ちが浮足立ち、その度に迎えた季節を数えてしまうのは、春生まれの性だけではなく、何か新しいことを始めたくなる気持ちがウズウズと生まれる季節だからでしょうか。

 

つい先日、就職内定の知らせを届けてくれた方は、湘南ケアカレッジで初任者研修を受講したのがちょうど私と同じ時期の方でした。「もう、6年前になるのですね」と、旧知の仲のようにそれぞれの思い出話に花が咲きました。クラスは違うため、一緒に机を並べて授業を受けたわけではないのに、同じ先生の話をするだけで打ち解けてしまうあの懐かしい気持ちも卒業生さんならきっと、分かっていただけるでしょうね。

 

6年前に初任者研修を修了し、実務者研修を経て介護福祉士にもなった彼女は、この春グループホームを辞めて、次なる介護の仕事を探していました。

 

「転職するときは、介護仕事百景で選びたいと思っていたのです」

 

と仕事の相談をしてくれる中で、この4年の間にホームページに更新されていく施設・事業所の記事を愛読していたことも明かしてくれました。見えていないだけで、介護仕事百景の向こう側には、その過程を見守ってくれている人が多くいたのだと改めて教えてもらいました。

 

「素敵な方ですね。期待しています」

 

彼女の就職が決まった施設の採用担当者さんは、そう賛辞を口にしていました。めでたく就職が決まった彼女の可能性に期待しているのはもちろん、今頑張ってくれている卒業生の先輩職員のように彼女もきっと活躍してくれるという、先輩職員である卒業生の頑張りが生んだ期待も添えられているはず。その期待こそが信頼であり、目には見えませんが、昔の卒業生から今の卒業生へと脈々と続くバトンにも思えてきます。

 

正直なところ、4年前に介護仕事百景を始めたときには、彼女のように仕事を探すという目的のためだけではなく記事を読んでくれる人がいることや、卒業生が頑張ってくれているからこそ新しく入職する卒業生も温かく迎え入れてもらえることが具体的に想像できていませんでした。ましてや、ハローワークや他の求人サイトに比べたら、圧倒的に掲載数の少ない介護仕事百景の中から選びたいだなんて、ファンがいてくれたことに対するありがたい気持ちと驚きで、みるみる大きくなる子どもの成長を感じるときのような気持ちです。

 

お給料や勤務条件だけではなく、そこで働く人やご利用者さんにスポットライトを当てているのが介護仕事百景です。全国の有効求人倍率が1を上回り、仕事(求人)の数よりも人(求職者)の方が少なく、より良い条件を求めることができる状況には拍車がかかっています。そんな状況において、私たちはもっと仕事を選ぶようになるはずです。そうした時に、月額の給料がいくらで、勤務場所がどこかだけの無機質な情報だけでは、心に響かないのではないでしょうか。

 

その職場ではどんな人が働いているのか、働く人は何を感じているのか、ご利用者さんはどんな風に過ごしているのか、自分がそこで働くとどんな人になれるのか、そういった様々な人にまつわる情報こそ、仕事を選ぶときの決め手になっていくはずです。そして、そのようにして介護・福祉の仕事を選ぶ人が増えたら、介護・福祉の仕事を本当に楽しいと感じながら働く人が増え、より魅力的な業界へとなっていくはずだと信じています。

 

5年目に向けて介護仕事百景も、もっと多くの人に愛され、必要とされ、「介護の仕事を探すときには、介護仕事百景で選びたい」と思ってもらえるものになっていくように、大切び育てていきたいと思います。(影山)