介護職の性別や年齢についてー長く働き続けられるって本当?(後編)

介護職の年齢層(男女別)について

上のグラフは介護職の年齢層を男女別で表したものです。男性は30代(29.2%)、40代(27.3%)が多く、次いで50代(14.1%)、20代(13.3%)となっています。働き盛りの年齢の男性の活躍が多いことが分かります。女性の場合、50代(25.9%)、40代(24.1%)、60代(25.5%)と、40代以上の方で4分の3を占める割合になっています。男性と女性のグラフで比べると、男性よりも女性の方が高齢になっても働き続けている方の割合が高いことが分かります。

施設等と訪問介護で働く介護職の年齢層について

上のグラフは、施設等と訪問介護で働く介護職の年齢層をぞれぞれ表しています。左側の施設等のグラフでは、40代が一番多く、次いで30代と50代、60代以上、そして20代となっています。私の知っている採用担当者さんに職員さんの平均年齢を伺っても、「40代」と返ってくることが多いので、町田や神奈川も全国平均とさほど変わらないと思います。

 

対して右側のグラフの訪問介護では、60代以上が3分の1近くを占め、次いで50代、40代、30代と高齢の人ほど多く働いていることが分かります。これは、2000年に介護保険制度が始まり、ヘルパー2級の研修がスタートしたことも遠因になっているはずです。

 

ちょうどそのころ40代ぐらいだった方が研修を受け、ヘルパーを始め、訪問介護の現場を今も支えていることなどが理由に挙がるでしょう。ヘルパー2級はその後、内容をリニューアルして介護職員初任者研修へと変わりました。すべての研修が教室のなかで完結する初任者研修と異なり、ヘルパー2級の研修では訪問介護や高齢者施設などでの現場実習が必要でした。研修のなかで訪問介護の現場を見て、その魅力に惹かれて、スムーズに訪問介護の仕事に就く人も多かったのではないかと思います。

 

また、訪問介護の仕事内容とも働く人の年齢層が大きく関係しています。訪問介護の仕事は、生活援助と身体介護に大きく分かれます。生活援助とは、部屋の掃除や洗濯、料理といった家事の仕事。身体介護とは、入浴介助や排せつ介助などのご利用者さんの身体に触れる介助がある仕事。

 

訪問介護とひと言に言っても、事業所によって、特色が分かれます。高齢の女性が多く在籍しているため生活援助を中心に行っている事業所から若い方や男性の職員さんが多く、身体介護をメインにしている事業所、また生活援助も身体介護も同じぐらいという事業所まで、それぞれに特徴があるのです。

 

また、訪問介護の仕事は、1つのサービスが30分や1時間に区切られています。これらの仕事を何件も回ることで1日数時間働くこともできますし、週に11時間だけの訪問ということも可能です。

 

 

そういったことから、「身体介護は体力的にきついけれど、生活援助だったら続けられる」などの体力的な問題や家庭の事情に合わせた、仕事の量(時間)や種類(内容)の調整しやすさが、訪問介護は高齢になっても続けやすいことにつながっているのだと思います。

介護の仕事を始める若い世代について(10代、20代)

介護職の年齢層における、20代(赤色部分)と20歳未満(青部分)をグラフで見てみると、介護の仕事に就く若い人は、「やはり少ないのか」と感じた人もいるかもしれません。しかし、ここで一度考えてみてほしいのです。職場には、同じ年代(20代、10)の人は少ないかもしれませんが、果たしてそれがデメリットばかりなのでしょうか。

 

私が20代で特別養護老人ホームで勤め始めた時、施設全体の職員の中で最年少でした。社会人としてもひよっこ、人生経験も20年ぽっちしかない新人職員の武器は、やっぱり若さと体力と素直さだったと思います。

 

現場は想像通り、自分の親ほどやさらには祖父母ほどの年齢の職員さん、ご利用者さんに至っては曾祖父母と変わらない年齢の方々でした。飛び込んだ私は、同じ年代の人がいないことに最初は心配もありましたが、杞憂でした。同じ年齢の人に囲まれた学生時代のコミュニティーが窮屈だった私にとってはかえって、先輩職員やご利用者さんの話すことや考え方は真新しく、狭い人間関係から解放されたような気さえしました。

 

仕事において、「分からなくても仕方ないね」と多少の失敗に目をつむってくれるのも、若いうちだけですし、私の適当さを見かねて(笑)、洗濯物の綺麗な干し方や効率の良い掃除の仕方など、手取り足取り教えてもらえたことも花嫁修業になりました。ご利用者さんの協力のもと移乗介護などは体力を活かして、何度も練習させてもらって早くできるようになりましたし、ご利用者さんのことを覚えるのに、そんなに時間がかからなかったのも若さゆえの特権だと思います。

 

何十人も新卒を一斉採用できる施設は珍しく、きっと、たった数人の若い職員だからこそ、私はたくさんの恩恵が受けられたのでしょう。こうして思い出してみても、若くして介護の仕事を始めたからこそ、職員さんからもご利用者さんからも手間や目をかけて育ててもらえたという感謝ばかりが出てきて、特に若いから損をしたことが思いつきません。

 

だからこそ、グラフでは数十パーセントの若い人(10代、20代)たちの選択は正解だと思いますし、若い時間という持ち分を賭けるには、リターンの大きい投資だと思うのです。ケアカレの初任者研修では、今日も訪問介護の現場で働くべく学ぶ20代の生徒さんがたくさんいます。彼ら彼女らにも、きっと実りの多い時間が現場で待っているはずです。グラフの中では少数でも、そこにこそチャンスが眠っています。

 

 

最後に話をまとめると、介護の仕事で何歳くらいの人が働いているかについては、20代から60代以上まで、さまざまな年齢の人が働いています。どの職場にもあなたと同じ年代の人がいるはずですので、ご安心ください。また、男性の介護士も全体の3分の1はいますので、職場で自分ひとりだけ男性だった、なんてことはないでしょう。介護の仕事は、長く続けられる仕事かどうかについても、60代以上の方も多く活躍していますし、訪問介護などのサービスによって働き方は様々で、自身の体力や希望に合わせて働き続けていくことができるはずです。(影山)